近年ではオール電化の物件が多く見られるようになりました。「オール電化の物件は光熱費を節約できるからお得」といったイメージを持っている方はいるのではないのでしょうか。そこで今回は、オール電化物件の光熱費は安いのか、またメリット・デメリットについて紹介していきます。
オール電化物件とは?
年々増えつつある「オール電化物件」ですが、一体どのような物件なのかご存知でしょうか。オール電化という文字通り、空調・調理・給湯などの熱源にガスを一切使用せず電気のみを使用している物件を指します。
電気のみを使用しているので、ガスコンロの代わりにIHクッキングヒーター、ガスファンヒータの代わりにエアコンや床暖房といった設備が使われています。オール電化物件には、ガスでお湯を沸かす給湯器がなく、電気温水器やエコキュートといった設備が採用されています。この設備は、予め電気で沸かしたお湯をタンクに保温しておく設備になります。
電気温水器とエコキュートでは消費電力に大きな差があり、エコキュートの方が消費電力は少ないです。築年数が新しいオール電化物件の場合は、比較的エコキュートを採用している物件が多いです。節約目的で、築年数の古いオール電化物件を探している場合は、温水器の種類も頭に入れて物件探しをすることをおすすめします。
オール電化物件は光熱費が節約できる?
オール電化物件を探す理由のひとつとして、光熱費を節約できるからという人も多いです。実際にガス併用の場合と比較していきましょう。電気やガスを利用するにはそれぞれ基本料金がかかりますが、オール電化の場合はガスの基本料金がかかりません。
種別 | 基本料金合計 |
---|---|
LPガス+電気(従量電灯B 30A) | 2,736円 |
都市ガス+電気(従量電灯B 30A) | 1,914円 |
オール電化(スマートライフS 50A) | 1,430円 |
このように基本料金ではオール電化の方が都市ガス併用より484円、LPガス併用より1,306円お得となります。それでは、月々の使用料金ではどうでしょうか?世帯別で比較してみました。
世帯 | オール電化 | ガス+電気 |
---|---|---|
1人暮らし | 11,222円 | 9,514円 |
2人暮らし | 14,049円 | 15,203円 |
3人暮らし | 15,588円 | 17,087円 |
1人暮らしではオール電化の方が光熱費は高くなりますが、2人暮らしでは1,000円以上、3人暮らしでは約1,500円も月々の光熱費が安いという結果になりました。平均気温など地域によって差は出てきますが、2人暮らし以上の場合はオール電化の方が月々の光熱費は節約できるようです。
オール電化物件のメリット
オール電化物件は世帯数や生活スタイルによっては、光熱費が安くなることがわかりました。その他にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここからはオール電化物件の主なメリット3つを紹介していきます。
基本料金を一本化できる
前述にもご紹介しましたが、基本料金が一本化できるのはオール電化のメリットです。通常であれば、電気代・ガス代のそれぞれの基本料金がかかりますが、オール電化になることで、電気代のみの基本料金となります。基本料金が安くなるのはもちろんですが、支払いや管理がしやすくなるのもメリットの一つと言えるでしょう。
ガス・火を使わないので安全性が高い
オール電化物件では、IHクッキングヒーターを使用して調理をします。火を使わず調理するので、火災のリスクが低くなります。また、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒の心配もありません。このようにガスや火を使用しないため、事故や火災といったリスクを下げることができるので安全性が高くなります。
災害時に復旧が早い
地震などの災害時に電気・ガス・水道のといったライフラインが止まってしまうことがあります。このような災害時にライフラインの中では電気の復旧が一番早いです。実際に災害が起きた際、3日後には80%が復旧しており、災害時の復旧が早いこともオール電化のメリットです。
オール電化物件のデメリット
メリットが多いように見えるオール電化物件ですが、もちろんデメリットもあります。ここからはオール電化物件にどのようなデメリットがあるのかをご紹介していきます。
昼間の電気代が高くなる
オール電化物件のデメリットとしては、昼間の時間帯は電気代が高くなってしまうことです。電気代が昼間より夜間の方が安く設定されていることから、生活スタイルによってはオール電化物件に住むことで今までより電気代が高くなる可能性があります。
調理器具が制限される
オール電化物件では、IHクッキングヒーターが採用されているため、IHクッキングヒーターに対応した調理器具を選ぶ必要があります。また、IHクッキングヒーターはガスコンロに比べ過熱速度が遅いので、ガスコンロの調理に慣れている方は思ったような火力で調理できないと感じる可能性もあります。
停電時に使えない設備が増える
停電してしまった場合、ガス併用物件ではガスコンロやガスストーブなどガスを利用する機器は使うことができます。しかし、オール電化物件では、調理や冷暖房に電気を利用するので、停電時にはほとんどの機能が使えなくなってしまいます。ただし、電気温水器やエコキュートのタンクにお湯が残っている場合は、お湯を使うことができます。
オール電化物件のメリット・デメリットまとめ
メリット | デメリット |
---|---|
・基本料金を一本化できる ・ガス・火を使わないので安全性が高い ・災害時に復旧が早い |
・昼間の電気代が高くなる ・調理器具が制限される ・停電時に使えない設備が増える |
オール電化物件の節約方法
全てが電力で賄われるオール電化物件では、どのような節約方法があるのでしょうか。ガスを使用しないので、節約方法は様々あるように感じます。生活スタイルによって節約方法も変わっていますので、自分にあった節約方法はあるのか、一緒に確認していきましょう。
適した料金プランを選ぶ
契約しているプランを見直すことで、基本料金を更に安くできる可能性があります。電気代の基本料金は利用可能なアンペア数によって変動します。電気・ガス併用の一人暮らしでは20~30アンペアで契約している方が多いと言われています。オール電化物件の場合20アンペアでは足りなくなることが予想されます。
オール電化物件に住む場合は40アンペアで契約すると安心して利用できます。節約目的でギリギリのアンペア数で契約する場合は、ブレーカーが落ちやすくなる原因に繋がるので、注意が必要です。
使用する時間帯を意識する
オール電化の電気代は、日中より夜間の方が安く設定されています。日中は在宅していない生活スタイルの方は電気代が安くなりやすいです。
洗濯機や炊飯器などタイマーを使って利用できる家電をお持ちの方は、夜にタイマーをセットしておくと良いでしょう。電気代が高いといわれている食洗器も、夜の時間帯に使うことで、電気代を節約することに繋がります。
待機電力を節約する
電気代を安くするために、プランの見直しや時間帯を意識することは大切ですが、使っていない家電の待機電力をチェックすることも必要です。一般家庭の待機電力は、電気代の10%を占めていると言われています。そのため、電気代の節約には、待機電力をカットすることが重要です。
使わない家電のコンセントをこまめに抜いておくだけで、大きな節約に繋がります。頻繁にコンセントの抜き差しをしている方は、スイッチ付延長コードを導入することで、コンセントの抜き差しが必要なくなるので、おすすめです。
- 適した料金プランを選ぶ
- 使用する時間帯を意識する
- 待機電力を節約する
メリット・デメリットを良く理解してから検討しよう
今回はオール電化物件について紹介してきました。オール電化物件は本当に節約できるのか、またメリット・デメリットが分からないという人は多いはずです。
光熱費の基本料金が一本化できることや火災のリスクを抑えることができることは十分メリットに感じます。オール電化物件は、生活スタイルや世帯数、温水器の種類によって光熱費が節約できるか変わってきます。オール電化物件を探す際は、メリット・デメリットを良く理解してから探すようにしましょう。