転勤などで賃貸物件を退去する際、どのような手順が必要になるのかご存知でしょうか。退去したいからと言って、すぐに部屋を解約することはできず、必ず管理会社に退去する旨を伝える必要があります。賃貸物件の解約・退去において必要になる手順を今回は紹介していきます。
今の部屋を出たい！退去する流れを紹介します
皆さんは賃貸物件から退去した経験はありますでしょうか？意外と知られていない退去の手順ですが、事前に把握しておくと色々と便利です。
まずは退去する際の流れとして6段階の手順に分けて解説していきます。
- 賃貸借契約書で解約通知期限を確認する
- 管理会社もしくは大家に退去の連絡・退去届を提出
- 電気・水道・ガス・インターネットなどの手続きを行う
- 郵便物の転送届手続きを行う
- 転出届を役所にて提出する
- 退去の立会いを行う
おおよその流れはこのようになります。退去の際には部屋の解約連絡だけでなく、役所への手続きなども必要になります。
賃貸借契約書を要確認
賃貸借契約書には、退去する際に「いつまでに」「誰に」連絡をする必要があるのかが記載されています。契約内容によって異なりますが、一般的には退去1か月前を解約通知期限としていることが多いです。中には3ヵ月前までに連絡が必要という場合もありますので、退去することを決めたら、必ず賃貸借契約書を確認するようにしましょう。
賃貸契約書の紛失や見つからない場合は、管理会社や大家さんへ連絡をすれば解約通知期限を教えてもらえます。
解約する旨を管理会社もしくは大家に連絡・退去届を提出
賃貸借契約書に記載されている物件の管理会社に、解約したい旨と退去希望日を連絡します。連絡した際は、必要になる書類や手続きなども合わせて確認しておきましょう。連絡を終えたからと言って解約通知が完了ではありません。管理会社に退去連絡を終えた後は退去届を提出する必要があります。
一般的に解約通知期限＝退去届の提出期限となっています。例えば、8月31日に退去したい場合、解約通知期限が1か月前だと7月31日までに退去届が管理会社に届いていなければなりません。期限ギリギリに連絡して退去届の提出が間に合わないといったことにならないように退去連絡は余裕をもって行いましょう。
電気・水道・ガスなどライフライン関連の連絡
退去日が決まった後は、電力会社や水道局、ガス会社などライフラインの利用停止手続きが必要です。電気や水道、ガスに関しては退去日に止めてもらう必要があります。
会社により異なることもありますが、利用停止手続きは退去日の1か月前から行うことができます。期限はありませんが、引越しのハイシーズンや土日祝日などで手続きが間に合わなくなってしまうこともありますので、利用停止手続きは退去日の1週間前までに済ませてしまうのが理想的です。
引越後も同じガス会社・電気会社・水道局を利用する場合は利用停止と開始の手続きを同時に行うことができます。
郵便物の転送届
引越しの際には郵便物の転送届を提出しましょう。この手続きをしていないと、郵送物が退去する住所に送られてしまいます。一度転送届を出すと、引越し後1年間は転送してくれます。
ちなみに転送届を提出したその日から転送開始というわけではありません。転送届を提出した日から、3～7営業日後に転送開始となります。退去日当日に転送届を提出して旧住所に郵便物が届いてしまわないように、転送届の提出は早めに行いましょう。
結婚が理由で引越しを行う場合、転送届に旧姓の記載をしておけば、旧姓で届く郵送物も転送して貰えるので、旧姓と新姓を記載しておくようにしましょう。
役所で住民票の異動
住民票の異動は、住民基本台帳法に定められた義務であり、正当な理由がなく変更しなかった場合は、法律で罰せられることもあります。期限も定められており、転出届は異動日の14日前から当日まで、転入届は異動日から14日以内に行わなければなりません。
役所は比較的混雑していることが多いため、なるべく早めの段階で住民票の異動をしておくようにしましょう。転出届を提出すると、転出証明書という書類をもらえるので、転入届を提出する際に一緒に提出する必要があります。
引越し後の市区町村が同じ場合は「転出届」「転入届」の提出ではなく、「転居届」の提出だけで大丈夫です。転居届の提出期限は転入届と同じく、異動日から14日以内となっています。
退去の立ち会い
引越しを終えて、旧居が空になった後は退去の立ち合いです。管理会社と、部屋の破損個所や汚れ、設備の不具合などが無いか確認します。特に問題がなければ、書類にサインをして終了となります。立ち合いの際に、借主が作った傷などがある場合、原状復帰として原状回復費用を請求されることがあります。通常、原状回復費用は入居時に支払った敷金から差し引かれて支払われます。
掃除して落とせる汚れなのにクリーニング代が請求されてしまうと勿体ないので、立ち会いまでに部屋は可能な限りきれいにしておきましょう。また、無駄な支払いを避けるために、入居時からある傷など、貸主側・借主側どちらが負担する費用なのか、しっかり把握しておくようにしましょう。
原状回復のルールをしっかり頭に入れておこう
原状回復義務は、賃貸借契約において解約して退去する際に、借りた部屋を借りた時の状態に戻してから部屋を返すべき義務です。
簡単にいえば、借りた時のような状態で退去をする、ということですが、当然歳月が流れてしまえば、借りた当初のような状態にはできないという場合もあります。自然と劣化してしまうことを「経年劣化」と呼び、この経年劣化に関しては借主側が責任を負う必要はありません。
どんな状態だと借主負担になる？
ルールやマナーを守っていれば、基本的には借主負担になることはありません。しかし、その中でも借主負担となってしまう場合がいくつかあります。例えば、ペットを飼育していたことで出来てしまった傷や汚れ、引越し作業で発生した傷などは借主負担になることが一般的です。
契約内容によっては、ルームクリーニング費用を借主が負担すると賃貸借契約書に記載がある場合もありますので、事前に賃貸借契約書を確認しておきましょう。
原状回復費の事例
| 貸主が負担する事例 | 借主が負担する事例 |
|---|---|
|
・正常に動作する鍵の取り換え ・経年劣化による設備故障 ・床や壁紙などの自然変色 ・台風や地震など自然災害による破損 |
・紛失・破損による鍵の取り換え ・ペット飼育による傷や汚れ ・借主の過失による内装や設備の汚損 ・装飾するため空けた釘穴やネジ穴 ・引越し作業時についた傷 |
事前に把握して余裕をもって動こう
今回は部屋の退去に関する流れや解約の方法について紹介してきました。賃貸物件は、契約内容により退去の連絡時期が異なってきます。退去1か月前と思っていたはずが、実は退去3か月前なんてこともあるので、必ず賃貸借契約書を確認するようにしましょう。
また、退去時期によっては二重家賃が発生する可能性もあるので、あわせて気を付けてチェックすることをおすすめします。入居の際もそうですが、退去の際もやらなければいけないことはたくさんあるので、事前にしっかり流れを頭に入れて、早めに動くようにしましょう。
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