自宅にインターネット回線を導入している世帯は9割を超え、インターネット回線は必要不可欠な時代になりました。マンションやアパートによっては、元からインターネット回線が備え付けられている物件もあります。こういったインターネット完備の物件は、契約などの手間が省けるため魅力的に感じる人は多いのではないのでしょうか。
たしかに自分で手配する手間は掛かりませんが、インターネット完備物件は通信速度が遅いといった問題が多いです。一体なぜインターネット回線が遅くなってしまうのでしょうか。今回は、インターネット回線が遅くなる理由とその対策方法について紹介していきます。
インターネット完備物件とは
入居後すぐにインターネットが利用できる「インターネット完備」の物件があります。インターネット完備物件は、既に部屋内まで回線が引き込まれており、回線の開通工事をする必要がありません。また、プロバイダ契約も済んでいるため、ケーブルを繋げばすぐにインターネットを利用することができます。月々の通信費用は、家賃や管理費に含まれているので別途発生することはありません。
通常であればインターネット回線契約時に発生する工事費用や事務手数料などが掛からないため、初期費用が抑えられます。このインターネット完備物件での回線契約は、2つのパターンに分類されます。
- すでに契約されている回線しか利用できない場合
- 管理会社か大家さんに確認が取れれば回線を変更できる場合
上記の2種類のケースがあり、後者の場合は工事費、月々の通信料は実費となってしまいます。
指定されている回線しか利用できない場合
インターネット完備物件では、指定された回線しか利用できないことがあります。入居時からインターネット回線を利用できるので便利ではありますが、速度の速い回線に変更するなどの融通はききません。こういったインターネット完備物件は、利便性やコストパフォーマンスに優れているものの、通信速度が遅いケースが多いです。
中には、一定の時間が経過すると接続が自動で切れてしまうといった利用制限が設けられている物件もあります。そのため、インターネットを日常的に使う人には不便と感じるかもしれません。
個別でインターネット回線を契約できる物件
インターネット完備物件でも、管理会社や大家さんから許可を得ることができれば、個別でインターネット回線を契約することができます。工事費や月々の通信費用は自己負担となりますので、把握しておきましょう。
個別でインターネット回線を契約することができれば、マンションやアパート内で同じ回線を利用している世帯が少なくなるので、インターネット回線の速度は速くなることが多いです。
- 個別でインターネット回線を契約した場合、物件によっては退去時に撤去費用が発生することがあります。個別契約の許可を取る際に合わせて確認しておきましょう。
個別で契約する場合、割高になることがある
個別でインターネット回線を契約することができる場合でも、契約種別によっては料金が割高になってしまう可能性があります。インターネット回線の契約種類はマンションタイプと戸建てタイプの2つに分類されます。マンションタイプは外部から建物の共用部に引かれた回線を各部屋に分配する方式ですが、戸建てタイプは建物の共用部を介さず、自身の部屋に直接回線を引く方式になります。
戸建てタイプは階数や建物の構造によって契約できない場合があるので、各プロバイダに確認が必要です。インターネット完備物件で個別に回線契約する場合は、戸建てタイプを余儀なくされることが多いです。戸建てタイプはマンションタイプより月々の費用が高くなりますが、回線を独占できるため通信速度が速くなります。
回線種別 | 費用 | 特徴 |
---|---|---|
マンションタイプ | 月々4,000円前後 | 配線方式や契約戸数によって速度が遅くなる 物件によっては工事が不要 |
戸建てタイプ | 月々5,500円前後 | 一般的に3階以上の部屋では契約が難しい 工事が必須で導入に時間がかかる 回線を独占できるので速度が速い |
インターネット完備物件の回線が遅い理由
インターネット回線が遅い理由はいくつか考えられます。特にインターネット完備物件では下記3点が通信速度の低下を招いているケースが多いです。
- 同じ回線を利用している世帯数が多い
- 各部屋への配線方式が光配線ではない
- プロバイダの質が悪い
それでは、詳しく見ていきましょう。
同じ回線を利用している世帯数が多い
インターネット回線が遅くなってしまう理由の一つとして、大人数が同時にインターネットへ接続することが挙げられます。マンションやアパートのインターネット回線は、外部から建物の配電部に引かれた1本の回線を各部屋に分配しています。
1本の回線で送ることができるデータ量には限度があり、大人数が同時にインターネットを利用すると、データ量の限度に達してしまい通信速度が遅くなります。そのため、集合住宅では利用者数が多くなる時間帯は、通信速度が遅くなる傾向にあります。
各部屋への配線方式が光配線ではない
前述したように、マンションやアパートなど集合住宅では、一本の回線を各部屋に分配しているのが一般的です。この分配方式には、種類があり大きく3つに分類されます。
- 光配線方式
- VDSL(電話回線)方式
- LAN方式
この3つの配線方式では通信速度が異なり、光配線方式が1Gbps、VDSL方式とLAN方式が100Mbpsとなっています。光配線方式以外だと最大速度が100Mbpsが限度なので、通信速度が遅くなる原因となります。
VDSL方式やLAN方式から光配線方式への変更は建物全体での工事が必要となるので簡単に変更することはできません。
プロバイダの質が悪い
インターネット完備物件では、コスト削減のために大手ではないプロバイダと契約していることがあります。このようなプロバイダは、接続方式が古い可能性があります。接続方式が古いと、時間帯による混雑に弱かったり、速度制限が設けられている場合があり、速度が遅くなる傾向にあります。
ネット回線が遅いことへの対策ってあるの?
インターネット回線が遅いと、どうしてもストレスが溜まってしまいます。回線の変更ができない物件ではどのような対処をしたらよいのでしょうか?ここからは、自身で対処できる方法を3つ紹介いたします。
- 混雑しそうな時間帯を避ける
- 高性能なルーターに変えてみる
- ホームルーター・モバイルルーターを契約する
以下で更に詳しく紹介していきます。
混雑しそうな時間帯を避ける
インターネット回線は、学校や仕事から帰宅した夜に利用する人が多いです。そのため、利用する人が少ない昼の時間帯では通信速度が改善します。回線が混雑しない時間帯に利用すると、1人当たりが送信できるデータ量が増えるため、インターネット回線が速くなることがあります。
高性能なルーターに変えてみる
通信速度の改善策として、ルーターを高性能なものに変えてみるのがおすすめです。ルーターによって通信速度や使える電波が異なるため、ルーターを変えることで通信速度が改善するケースがあります。プロバイダによってはルーターのレンタルを行っている場合があります。ルーターの変更で、どの程度効果があるのかレンタルサービスを利用して確かめてみると良いでしょう。
- 物件によってはルーターが壁の中に埋め込まれているなど、ルーターを変えることができない場合がありますので、その点に関しては確認が必要です。
ホームルーター・モバイルルーターを契約する
月々の費用はかかってしまいますが、ホームルーターやモバイルルーターを契約するのも一つの手です。本来であれば固定回線のほうが通信速度は速く、安定もしています。しかし、備え付けのインターネット回線が極端に遅い場合は、ホームルーターやモバイルルーターのほうが速くなるケースがあります。
ホームルーターやモバイルルーターは電波を使って通信を行うので、工事の必要がなく、インターネット回線を変更できない物件でも簡単に導入することができます。
- 建物構造や地域によっては電波が不安定な場合がありますので注意が必要です。お試し期間やレンタル業者を使って、通信速度を確かめてから契約するようにしましょう。
物件を探す際はネット環境を確認しよう
今回は、インターネット回線が遅い理由と対策について紹介してきました。集合住宅では、大勢が同時にアクセスすると利用できる量が減ってしまい、インターネット回線の速度が遅くなります。回線の速度が遅くても物件によっては、大家さんや管理会社の許可が出ないと回線の変更ができない場合があります。このような事態にならないために、物件を探す際は、不動産会社の担当者にネット環境の情報を確認してから物件を探していくことをおすすめします。