賃貸で浄化槽を使ってるとトラブルの危険があるって本当?
賃貸の排水設備で『浄化槽を使っている』と言われたけど、なんのことかよくわからないと思う方も多いのではないでしょうか。
浄化槽を使っている物件はあまり多くはありませんが、一部の地域や物件では現在も使用されています。
じつははこの浄化槽をしようしている物件を避ける人も多く、賃料が安かったり、審査が緩くなっている物件に設置されている例も少なくありません。
この記事ではそんな賃貸の浄化槽に関して詳しく解説していきます。
そもそも浄化槽ってなに?
まずは浄化槽がどのような設備であるかを確認しておきましょう。
浄化槽とは下水処理方法の1つで、下水をタンク内で浄化して水路や川、海に放流するシステムのことです。
下水道での下水処理の方が一般的に普及しており、浄化槽での下水処理を利用している人口は国内の9.4%程度となっています。(参照:環境省)
浄化槽は物件周辺に下水をためなければならず、設備のメンテナンスなどが必要なため使用している物件は多くありません。
しかし、環境的にに制約のある物件では、浄化槽を使っての下水処理が必要になります。
浄化槽と下水道の違い
浄化槽を使用していない物件のほとんどが、下水道を使用して下水処理を行っています。
浄化槽と下水道での下水処理にはどのような違いがあるのかを確認しておきましょう。
浄化槽 | 下水道 | |
下水処理方法 | 地下などに設置されているのタンクで汚れを分解。分解後は川や海へ放流。 | 下水管を通して下水処理場で下水を分解。分解後は川や海へ放流。 |
メンテナンス | 各物件のオーナーによるメンテナンス | 水道局の対応 |
不具合発生時の対応 | 専門の業者による対応 | 水道局の対応 |
浄化槽と下水道での下水処理方法の違いは、下水を物件に付帯するタンクで処理するか、下水処理場で処理するかです。
また浄化槽は個人の敷地内にある場合は、基本物件の所有者で管理をしていく必要があります。
浄化槽を使用するメリット
浄化槽を使用することで得られるメリットもあります。
- 水道代が安くなるケースがある
- 災害などに強い
水道代は基本的に上下水道合わせて計算されますよね。
しかし、浄化槽で下水処理をする場合には、下水道を使用しないので一般的に水道代が安くなる傾向にあります。
また災害発生時などに、下水管や下水処理設備が破損してしまうと、復旧まで非常に長い時間を要するケースが多いです。
下水管や下水処理施設のように、大規模修繕が必要でないので比較的短期間で復旧を完了することがでる場合がおおくなっています。
浄化槽が設置されている物件は基本的に、土地的な制約から下水道が使用できない物件です。このような物件は比較的地方に多い傾向にあります。
賃貸でおこりやすい3つの浄化槽トラブルと対象法
賃貸の浄化槽ではどんなトラブルが起きるの?
浄化槽は下水が家の付近で溜まるため、悪臭の原因になりやすいです。
また浄化槽内の下水を分解するための、設備が必要になるのでモーター音や動作不良による二次被害も発生するリスクがあります。
中でも発生しやすいトラブルとして以下の3つのトラブルをあげることができるでしょう。
- 悪臭や虫が発生する
- 騒音が発生する
- 排水不良や汚水逆流の原因になる
それではさらに詳しくそれぞれのトラブルについて確認していきましょう。
悪臭や虫が発生する
浄化槽は建物付近に下水を溜めて処理するため、浄化槽の不具合は悪臭やそれに伴う虫の発生原因になりやすいです。
下水近くで貯めるので、空気が外に抜けたりしてしまうと臭うのは当然ですよね。
浄化槽から悪臭がする場合には、以下のような原因が考えられます。
- 設備の故障やトラップなどの外れ
- タンクの破損や清掃不足
- 浄化槽内のバクテリアの数が十分ではない
悪臭が発生している場合に最も多いのが、設備の故障やトラップの外れです。
浄化槽は半年程度で定期的な点検が必要になり、15年程で寿命が来ると言われています。
その間にもモーターやトラップの経年劣化が起こるうえ、タンク自体にひび割れなどが起きる場合もあります。
また浄化槽が新しい場合にも異臭などが発生するケースがあるようです。
その原因として最も多いのが、浄化槽内のバクテリアが十分に繫殖できておらず、下水を分解しきれずに悪臭が発生してしまうというものです。
このように下水処理設備が建物の近くにある事で、異臭などのトラブルのリスクは高まると言えるでしょう。
騒音が発生する
浄化槽にはタンク内で下水分解のためのバクテリアが増殖するよう、ブロワーという機械が設置されています。
このブロワーは浄化槽が地下に設置されている場合でも、外気を取り込むために地上に設置されている設備です。
このブロワーの振動音が原因で騒音が発生してしまうというトラブルも少なくありません。
音の大きさは設置されている場所など、環境要因で大きく変わりますが、一般的にエアコンの室外機よりも音が大きい場合が多いようです。
そのため寝室の窓付近にブロワーが設置されている場合には、うるさくて眠れないという事態も想定されます。
ブロワーの音の原因は多くの場合、振動が機械を固定している場所に伝わり発生しています。
そのため緩衝材などを設置することで症状が緩和する場合も多いので、騒音に悩まされた場合には、管理会社などに相談してみましょう。
排水不良や汚水逆流の原因になる
浄化槽はタンク内部でバクテリアなどを繫殖させ、汚水を分解するシステムです。
しかし当然バクテリアだけで全ての汚れを分解して、流してしまうことはできません。
そのため定期的な浄化槽内や配管の清掃作業が必要になります。
この定期清掃を怠ってしまったり、大量の汚物を流してしまったりして配管が詰まってしまうと排水不良や逆流を引き起こす危険性が高いです。
下水道よりも配管が細かったり、雨水と汚水が共に流れたりと逆流のリスクが高いのは浄化槽のデメリットと言えるでしょう。
トラブルが発生した場合の対処法
最初に結論をお伝えすると、浄化槽でトラブルが発生した場合にが専門の業者しか修繕はできません。
この点は浄化槽のもう一つのデメリットとも言えるでしょう。
浄化槽は素人や一般の水道工事の会社等では対応できない内容が非常に多くなっています。
そのためトラブル発生時には専門の業者やメーカーを手配するしかありません。
また業者が限られてしまうので、点検までに時間がかかってしまうといったリスクも高くなります。
このような事情も浄化槽に関連するトラブルが発生しやすい原因となっていると言えるでしょう。
トラブルに巻き込まれないための確認しておくべきポイント
浄化槽に関する知識なんてないから、どうやって気をつければいいのかわからない。
浄化槽の状態でトラブルのリスクがあるかを確認することはできないので、他のポイントで確認していきましょう。
物件の下水処理方法を確認する
やはり一番大事なのは、入居前に下水処理の方法について確認しておくことです。
近隣エリアで浄化槽を使用していない物件がある場合には、ここまで紹介してきたリスクなども踏まえてどちらの物件が良いのか検討してみてみましょう。
浄化槽の物件は比較的郊外に多くエリア的にも、家賃が低かったり、審査が緩かったりする物件が多い傾向にあります。
夜職の方で他の物件が借りれないから、という理由で浄化槽が設備となっている物件への入居を検討している方はぜひ一度「ナイトハウス」に相談してみてください。
水商売や夜職の方専門に物件を紹介しているので、あなたにあった物件も見つけることができる可能性が高いです。
物件の管理を誰がしているのか確認しておく
物件の管理をオーナー自身がしている場合などは、浄化槽の定期的なメンテナンスなどがしっかりされているか確認しづらい部分があります。
また不動産のプロでないオーナーが物件の管理をしていると、トラブル発生時も提携業者などが少なく対応が遅くなってしまうケースも。
そのためできる限り不動産屋がしっかりと設備の管理までしている物件を選ぶのがおすすめです。
管理会社などを使用しているかどうかは、物件の問い合わせ時に確認するか、賃貸契約書内に記載されているので確認しておきましょう。
共用部などのメンテナンス状態を確認しておく
管理会社が管理しているの中にも、物件管理がずさんになってしまっている物件があります。
浄化槽の定期的なメンテナンスやケアをしっかりとしてくれているのかを確認するためにも、共用部の状態の確認は欠かせません。
浄化槽と一見関係なく思えるゴミ箱や、駐輪場の管理状態をしっかりと確認しておきましょう。
共用部が汚れていたり、修繕などが全くされていない状態の物件は、浄化槽のメンテナンスも怠っている可能性が高いです。
またゴミ出しなどのルールが守られていない物件は、他の住人の排水トラブルなどにも巻き込まれやすいので避けた方がよいでしょう。
めずらしいからこそ気をつけたい賃貸の浄化槽トラブル
この記事では賃貸の浄化槽について説明してきました。
下水処理の方法として浄化槽を採用している物件は非常に少なく、物件選びのさいにこの点をポイントに物件を決める方も少ないでしょう。
浄化槽は定期的なメンテナンスをしっかりとしていれば、メリットもあるシステムです。
しかし、ずさんな管理状態のもと使用してしまうと、異臭や汚水逆流のようなトラブルを招いてしまう危険性があるので注意しましょう。
「審査が通りやすいから」といった理由でこのような物件を契約してしまう前に、他の不動産屋にも相談してみるのがおすすめです。